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双極性障害の方への接し方で大切なことは?サポート方法や支援制度も紹介!

双極性障害の方への接し方で大切なことは?サポート方法や支援制度も紹介!

記事の目次

  1. 1双極性障害を理解する
  2. 1.1双極性障害の主な症状
  3. 1.2双極性障害とうつ病との違い
  4. 1.3双極性障害になりやすい人の特徴
  5. 2双極性障害の方への接し方
  6. 2.1うつ状態のときの接し方
  7. 2.2躁状態のときの接し方
  8. 3【関係性別】双極性障害の方への接し方
  9. 3.1家族や恋人の場合
  10. 3.2友人の場合
  11. 3.3職場の同僚の場合
  12. 4双極性障害の方の周囲の方ができるサポート
  13. 4.1生活リズムを整える手助けをする
  14. 4.2治療を継続しやすいよう協力する
  15. 4.3再発の兆候に気づく
  16. 4.4自殺の兆候を見落とさない
  17. 5双極性障害の方への接し方について悩んだときに相談できる場所
  18. 5.1精神保健福祉センター
  19. 5.2保健所
  20. 5.3通院先の病院
  21. 5.4家族会
  22. 6双極性障害の方への接し方に困ったときは専門家に相談しよう

身近に双極性障害の方がいる場合、どのように接したら良いか悩むこともあるかもしれません。
双極性障害は、一日中気分が落ち込む「うつ状態」と、極端に気分が高揚する「躁状態」を繰り返すため、その時々によって接し方を変える必要があります。

この記事では、双極性障害の基本的な症状を解説し、より適切な接し方ができるためのヒントをご紹介します。
また、接し方に迷ったときに相談できる窓口もお伝えするので、ご参考になれば幸いです。

双極性障害を理解する

双極性障害とは、極端な気分の浮き沈みによって、仕事や日常生活に支障をきたす精神疾患です。
以前は「躁うつ病」と呼ばれており、国内には数十万人の患者さんがいるとされています。

家族や友人、職場の同僚に双極性障害の方がいる場合、まずは病気の症状について理解しましょう。

双極性障害の主な症状

双極性障害は、躁状態とうつ状態を繰り返す精神疾患です。
双極性障害にはⅠ型とⅡ型があり、Ⅰ型のほうがより激しい躁状態が現れます。

双極性障害の症状は、以下のとおりです。

  • 躁状態
    • 過度な高揚感
    • エネルギーの増加
    • 睡眠の減少
    • 誇大妄想
  • うつ状態
    • 抑うつ気分
    • 興味・喜びの喪失
    • 疲労感
    • 集中力の低下

躁状態のときは気分が大きくなり、攻撃的な言動や行動をする場合もあります。
一方で、うつ状態のときは気分が落ち込み「自分は価値のない人間だ」「死にたい」といった発言が見られるかもしれません。

双極性障害の方は、気分の波によって発言や行動が変わるため、周囲の人も接し方に困る場合もあります。

双極性障害(そうきょくせいしょうがい)
厚生労働省e-ヘルスネット[情報提供]

双極性障害とうつ病との違い

双極性障害とうつ病との違いを把握することも、適切な接し方を学ぶうえで役立ちます。
両者は共通した症状があり混同しやすいですが、実際は別の病気です。

うつ病はうつ状態のみが続くため、躁状態は見られません。
治療には気分の落ち込みを抑える「抗うつ薬」が使用されます。

一方で、双極性障害は躁状態とうつ状態の両方が繰り返されます。
治療には気分を安定させる「気分安定薬」が用いられる場合が多いです。

はじめはうつ病と診断されても、あとから躁状態が出現し、診断名が双極性障害に変わるケースもあります。

抗うつ薬(こううつやく)
厚生労働省e-ヘルスネット[情報提供]

双極性障害になりやすい人の特徴

双極性障害になりやすい人の特徴は、以下のとおりです。

  • 社交的な人
  • 他人に対して親切な人
  • 活発な人
  • 何かに熱中しやすい人
  • 責任感が強い人

また、性格以外の要因として、ストレスが多い環境・出来事が引き金となることもあります。
転職や昇進、異動、引っ越しなどの環境変化に加えて、家族や恋人との別れや妊娠・出産などのストレスから発症する場合もあるでしょう。

さらに、双極性障害の発症には、遺伝的要因が影響しているとされています。
つまり、家族に双極性障害の方がいる場合、発症リスクが高まる傾向にあるのです。

双極性障害は、本人の生まれ持った性格と環境的要因、遺伝的要因が相互に作用した結果、発症すると考えられています。

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双極性障害の方への接し方

先述したとおり、双極性障害はうつ状態と躁状態が繰り返される病気です。
そのため、本人の状態に合わせて接し方を変える必要があります。

以下より、双極性障害の接し方について、うつ状態と躁状態に分けて解説します。

うつ状態のときの接し方

双極性障害を抱えている方がうつ状態にある場合、周囲の理解とサポートが、本人の回復につながります。

うつ状態にある場合、自己肯定感が下がり、疲れがなかなか取れない状態にあります。
そのため、本人のペースを尊重し、休養をとるように声かけをすると良いでしょう。

ここでは、双極性障害のうつ状態にある方への接し方について、詳しく解説します。

休養を取るように促す

うつ状態にあるとき、本人はかなりの疲労を感じています。
したがって「ゆっくり休んでね」と声をかけたり、家事や用事などの負担を軽減したりして、本人に休養を促しましょう。

うつ状態のときは、体を動かすだけでも辛い場合があります。
しかし、これは病気の症状であり、決してなまけているのではありません。
周囲の方は症状を理解し、本人が安心して休養を取れるようにしましょう。

励ます・焦らすような言動を避ける

うつ状態の方に対して「頑張れ」という言葉は逆効果になる場合があります。
たとえ応援のつもりで声をかけたとしても、本人からすると「自分は頑張っていないんだ」とネガティブに捉えてしまう場合があるからです。

また、回復を急かすような言葉も、ご本人にとってはプレッシャーに感じるかもしれません。

うつ状態の方に対しては、本人のペースを尊重し、無理をさせないようにしましょう。
本人が感じている苦しみを認め、共感を示すことで心の支えになります。

躁状態のときの接し方

双極性障害の躁状態では、過度に活動的で、衝動的な行動をとることがあります。
そのため、周囲の方はどのような接し方をすれば良いのか、戸惑うことも少なくありません。

以下より、躁状態のときの接し方について解説します。
何か問題が起きたときに状況を正しく把握し、適切なサポートができるようにしましょう。

病院への受診を促す

躁状態では、本人が自己判断できない場合もあるため、病院への受診を促しましょう。
もし本人から反発を受けた場合には、職場の上司や目上の人から受診を促してもらうと効果的です。

躁状態を放置すると、浪費したり、他人を傷つけたり、社会的信用を失う行為をしたりする場合もあります。

躁状態の症状を抑えるには、薬で気持ちを落ち着かせるのが一般的です。
医療との連携を取りながら、適切な治療を受けるように促しましょう。

問題行動に対処する

躁状態のときは、衝動的な行動やリスクをともなう行為に走りがちです。
そのため、問題行動が起こった際には、冷静に対処することが求められます。
周囲の方だけで対応するのが難しければ、医療機関や専門機関に相談してみましょう。

躁状態は本人だけでなく、家族や友人、職場の人など、さまざまな人に不利益をもたらす場合があります。
たとえ入院までとは行かなくても、同じ空間にいるのが負担になっている場合は、一時的に距離を置いてみるのも良いでしょう。

【関係性別】双極性障害の方への接し方

双極性障害の方への接し方は、関係性によって異なります。
例えば、家族や恋人、パートナーなど本人の身近にいる方は、日常生活レベルでのサポートが求められるでしょう。

友人や職場の同僚も、適切な接し方を学ぶと、何か問題があったときに冷静に対応できます。
ここからは、双極性障害の方への接し方を関係性別に解説します。

家族や恋人の場合

家族や恋人の接し方として、まずは病気について正しく理解しましょう。
双極性障害の症状を正しく理解しなければ、ご本人をサポートするのは難しいためです。

また、治療に対するサポートや日常生活での細かな配慮が求められます。
例えば、定期的な通院のサポートや家事の分担、安定した生活リズムの確保などが挙げられます。

とはいえ、双極性障害の方を一人で支えるのは、決して楽なことではありません。
本人の言動に傷ついたり、ストレスが溜まったりすることもあるでしょう。

そのため、同じ境遇の方が集まる「家族会」に参加したり、信頼できる友人などに話を聞いてもらったりして、定期的にストレスを発散することも重要です。

友人の場合

友人としての接し方は、本人の話を傾聴する姿勢が大切です。
双極性障害の方のなかには「友人だからこそ、つらい気持ちを話せる」という方もいるからです。

また、躁状態やうつ状態を理解し、その時々の状態に合わせた対応が求められます。
躁状態のときには、ただ静かに話を聞き、肯定も否定もしない姿勢を貫きましょう。

うつ状態のときは気分が落ち込んでいるため、無理に元気づけるのではなく、そっと寄り添うことが求められます。

友人は家族や恋人とは違い、本人に毎日会えるとは限りません。
しかし「前に会ったときと様子が違う」と気づく場合もあるでしょう。
何かしらの変化に気づいた場合、本人や家族に伝え、協力できる部分は協力することが大切です。

職場の同僚の場合

職場の同僚の接し方として、躁状態とうつ状態の違いを認識する必要があります。
双極性障害の症状によっては、仕事のパフォーマンスに波があるかもしれません。
その点を理解し、柔軟に対応することが求められます。

例えば、躁状態のときには新しい企画を積極的に提案したり、会議での発言が増えたりと、仕事に対してエネルギッシュな姿勢が見える場合があります。
ところが、うつ状態のときには、仕事が手につかなかったり、そもそも職場への出勤自体が難しかったりするかもしれません。

このように、双極性障害は仕事のパフォーマンスにも影響を及ぼします。
対策として、症状が現れたときの対応をあらかじめ決めておくと良いでしょう。

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双極性障害の方が仕事を続けるには?向いている職業や働き方のコツも解説!
双極性障害では、気分の波が激しい傾向があるため、仕事を続けるのが難しいと悩んでいる方がいるかもしれません。今回は双極性障害の方が仕事を続けるにはどうしたらいいか、向いている職業、働き方のコツを解説していきます。自信を持って働けるように、役立てれば幸いです。

双極性障害の方の周囲の方ができるサポート

双極性障害は、規則正しい生活と継続した治療を行うと、再発を防げる場合があります。
とはいえ、双極性障害は長期にわたる療養が必要なため、本人だけで病気に向き合うのは、精神的につらいかもしれません。

ここからは、家族や友人、職場の方ができるサポート方法について紹介するので、ぜひご参考にしてみてください。

生活リズムを整える手助けをする

双極性障害は、生活リズムの乱れによって症状が悪化することがあります。
特に睡眠不足は躁状態を引き起こす場合もあるため、睡眠時間を一定に保つように心がける必要があります。

一緒に生活している家族や恋人としては、規則正しい生活を送れるように、生活習慣をともに作り上げましょう。
例えば、一緒に散歩をしたり、食事の準備をしたりなどが挙げられます。

また、職場や学校では、本人の生活リズムが崩れてしまうほどのタスクを課したり、友人同士の付き合いに誘ったりするのは避けましょう。

周囲の方は、本人の生活リズムを整えることを優先し、無理をさせない接し方をする必要があります。

治療を継続しやすいよう協力する

双極性障害の治療は長期にわたることが多く、薬物療法や心理療法など、定期的な治療が必要です。
治療を継続させるためには、通院へ同行したり、薬や通院スケジュールを管理したりなどのサポートが求められます。

双極性障害の方のなかには「もう薬はいらない」と、自己判断で服薬や通院をやめてしまう方もいます。
しかし、自己判断で服薬を中止すると再発リスクが高まるため、治療・服薬を続けられるように、周囲の方のサポートが必要です。

また、治療に対する理解を深めると、本人が治療へのモチベーションを保ちやすくなります。
医療機関によっては、病気の症状や治療法について学ぶ「心理教育」を取り入れているため、本人の症状が落ち着いたときに利用をすすめてみましょう。

再発の兆候に気づく

双極性障害は、早めに再発の兆候に気づくと症状の悪化を防げます。
再発の兆候として、以下の変化が見られるでしょう。
 

躁状態 うつ状態
睡眠時間が短くなる 食欲がなくなる
おしゃべりになる 口数が減る
イライラして怒りっぽくなる 疲れやすくなる
高価な買い物をする 身だしなみに気を遣わなくなる

上記のほかにも、いつも以上に元気があったり、飲酒量が増えたりすると、再発の兆候かもしれません。
これらの変化に敏感になり、必要であれば医療機関への相談を促すことが大切です。

家族、友人、職場の同僚など、周囲の方が見て気づいた点があれば、本人または家族に情報を共有しましょう。

自殺の兆候を見落とさない

双極性障害の方は、特にうつ状態のときに自殺リスクが高まることがあります。
自殺の兆候としては「死にたい」または「消えたい」と言ったり、遺書を書いたり、大切な物を人に渡したりなどがあります。

また、本人の家族や友人、職場の同僚に自殺した方がいる場合や、経済的に困窮している場合は、より一層自殺のリスクがあるため注意が必要です。

自殺の兆候に気づいた場合は、ただちに主治医に相談し、適切な対応を取ることが求められます。
周囲の方は、自殺のサインを見逃さないよう気にかけましょう。

双極性障害の方への接し方について悩んだときに相談できる場所

双極性障害の方への接し方に悩んだ場合、専門家や似た立場の方へ相談してみましょう。
専門的な知識や経験に基づいて、接し方に関する有益なアドバイスをもらえるかもしれません。

以下より、双極性障害の方への接し方について相談できる場所を紹介します。

精神保健福祉センター

精神保健福祉センターは精神障がいのある方に対して、総合的な相談支援を行っている機関です。
専門の相談員が相談に応じ、一人ひとりの状況に応じた支援方法を提案します。

具体的には、双極性障害の方への接し方についての相談や家族が抱える悩みに対して専門的なアドバイスを提供します。
場合によっては、地域の医療機関や支援機関を紹介するケースもあります。

また、地域の支援制度やサービスについての情報提供も行っており、本人だけでなく、その家族にとっても心強い存在です。

精神保健福祉センター
厚生労働省

保健所

地域の保健所も、双極性障害の方への接し方についての相談窓口として活用できます。

保健所では、公衆衛生看護師や保健師などが、メンタルヘルスに関する相談を受け付けています。
地域に根差したサポートを行っており、必要に応じて他の医療機関や支援機関への橋渡しをする場合もあるでしょう。

また、保健所によっては「アウトリーチ(訪問)支援」を行っているところもあり、医療機関や相談機関に出向くのが難しい方でも、医療・福祉によるサポートを受けられる場合があります。

【精神障害者アウトリーチ推進事業について】
厚生労働省

通院先の病院

双極性障害の方が通院している病院には、精神科医やカウンセラーなど、メンタルヘルスの専門家がいます。

患者さん一人ひとりの状態を把握しており、その人に合った接し方やサポート方法についてのアドバイスを提供するため、困ったことがあれば相談してみましょう。

また、病院によっては家族教室やカウンセリングを行っている場合もあります。
双極性障害の家族への接し方に困っている方は、ぜひ利用してみましょう。

家族会

家族会とは、精神障害のある方の家族が集まって悩みを共有し、支えあうグループを指します。

家族会でも、双極性障害の方への接し方について相談できます。
同じような経験を持つ家族同士が集まり、接し方に関する具体的なアドバイスや心の支えを得られるでしょう。

家族会に関する情報は、地元の精神保健福祉センターや保健所などで得ると良いでしょう。
また、全国の家族会に関する情報は「全国精神保健福祉会連合会」の公式サイトに掲載されているため、ご参考にしてください。

都道府県連・関係団体
公益社団法人全国精神保健福祉会連合会(みんなねっと)

双極性障害の方への接し方に困ったときは専門家に相談しよう

双極性障害は、極端な気分の波を特徴とするメンタルヘルス疾患です。
うつ状態と躁状態では、その人への接し方を変える必要があるため、周囲の方々は戸惑うこともあるかもしれません。

双極性障害の方への接し方で大切なのは、病気の症状を理解し、現在の状態に合わせた接し方を心がけることです。
家族や友人、職場の同僚など、周りの方の理解とサポートがあれば、本人も安心して日常生活を送れます。

もし、双極性障害と思われる方への接し方に不安を感じたら、専門家のいる支援機関に相談しましょう。
専門家からのアドバイスは、本人にとっても、その周囲にいる方々にとっても、より良い関係を築くためのヒントとなります。

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宮島
ライター

宮島

大学では社会福祉学を専攻し、社会福祉士・精神保健福祉士の資格を取得。障害者就業・支援センターと就業継続支援事業所に勤め、精神障がいや発達障がいのある方の就労支援に携わりました。現在は知識と経験を活かし、福祉やメンタルヘルスに関する記事を執筆するライターとして活動しています。就労移行支援についてわかりやすく解説し、読者の皆さまの悩みを解決できる記事を執筆します。

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