就労移行支援事業所とは?サービス内容から利用のメリット・デメリットも紹介!
就労移行支援事業所とは
就労移行支援事業所とは、一般企業に就職を希望する障がいのある方の社会参加をサポートする通所型の福祉サービス施設です。就労移行支援事業所の主な役割は、「障害者総合支援法」に基づき、企業へと就職するために必要な「職業訓練」の提供や「就職活動サポート」を行うことです。
2019年の国の調査によれば、日本国内には3,506もの就労移行支援事業所があります。就労移行支援事業所の運営は、各自治体の指定を受けた民間企業、社会福祉法人、NPOなどが担っています。
サービス内容については就労移行支援事業所ごとに特色や強みが異なります。例えば、職業訓練の内容、就職活動のサポート方法、特定の専門分野への就職など、様々な特徴を持つ就労移行支援事業所があります。これにより、一人ひとりのニーズや希望に合わせた最適なサポートを受けることができます。
就労移行支援事業所のサービス内容
具体的な内容や提供方法は事業所ごとに異なりますが、就労移行支援事業所では以下のようなサービスが提供されます。
1.職業訓練
- 実務技能の習得
- 職場での基本的なマナーや知識の獲得
- コミュニケーション能力の向上
2.就職活動のサポート
- 履歴書・職務経歴書の書き方指導や模擬面接の実施
- 個人の適性や経験に応じた求人情報の提供や紹介
- 企業との面接のセッティングやアフターフォロー
3.就労定着のサポート
- 一般企業への就職後、安定して長期間働けるようにするためのサポート
- 就労先とのコミュニケーションのサポートや職場での問題解決のアドバイス
4.生活全般のサポート
- 職場での人間関係や生活リズムの構築、ストレス管理などのサポート
- 職業選びやキャリア形成、職場での悩みなどのアドバイス
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就労移行支援事業所の利用対象者
就労移行支援を受けるためには、障害者総合支援法に従った一定の基準を満たす必要があります。利用する際には、居住している自治体に申し込みを行い、サービスの利用が許可された場合、受給資格を証明する「障害福祉サービス受給者証」が発行されます。障害者手帳を持っていない方も、医師の診断や自治体の審査により、サービスの利用が許可されることもあります。サービスの利用手続きや流れについては、該当する自治体の障害福祉部門や就労移行支援施設で詳しい情報を得ることができます。
就労移行支援の適用を受けられる方々の基準は以下の通りです。詳細や最新の情報に関しては、関連する公的機関や窓口で確認するようにしましょう。
原則として18歳以上満65歳未満の方
原則として18歳以上満65歳未満の方が対象です。ただし「65歳未満の時点で5年以内に障害福祉サービスの支給の認定を受け、65歳になる日前に就労移行支援の認定も受けていた場合、そのサービスを継続して利用できる」との規定もあります。
身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病の方
身体障害・知的障害・精神障害・発達障害・難病とご診断された方が対象ですが、内容によって、証明書類や交付手続きが異なります。詳しくは、お住まいの自治体や専門の窓口で具体的な手続きを確認していただくと、スムーズに進めることができます。
一般企業へ就職を目指しており就労が可能な方
「就労が可能な方」とは、一定のサポートや訓練を受けた後、企業での業務を遂行することができると判断される方を指します。この判断は、医師の診断や専門家の評価に基づくことが多いです。
就労移行支援事業所のサービス内容
就労移行支援事業所の主なサービス内容である「職業訓練」「就職活動支援」「就労定着支援」について詳しく解説していきます。
職業訓練
職業訓練とは、企業での就職を目指す際に、必要な職業的スキルや知識を身につけるための訓練です。主に以下の内容を学ぶことができます。
1.実務技能の習得
特定の業務に必要な技術や操作方法を学ぶこと。例えば、パソコンの基本操作や特定のソフトウェアの使い方などがあります。
2.職場での基本的なマナーや知識の獲得
社会人としての基本的なマナー、職場のルールや慣習、安全に関する知識などを学びます。
3.コミュニケーション能力の向上
チームでの仕事を円滑に進めるためのコミュニケーションスキルや、上司や同僚との関係構築のための対人スキルを養成します。
職業訓練を通じて、各個人の得意な分野やスキルを見つけ、それを生かせる職種や業務への適応能力を高めることを目指し、企業の求める業務能力や知識を身につけ、雇用の機会を増やすことができます。
就職活動支援
就職活動支援とは、利用者が一般企業への就職を目指す際の活動をサポートするものです。このサービスは、就職への第一歩として、就職活動の方法や技術、求人情報の提供などを中心とした以下の内容が行われます。
1.履歴書・職務経歴書の指導
書類作成の際のポイントや書き方の指導、添削サービスを提供し、利用者が自身の経験やスキルを効果的にアピールできるようサポートします。
2.模擬面接の実施
実際の面接を想定したトレーニングを行い、利用者の面接技術を磨きます。この際、面接時の態度、答え方、服装などのアドバイスも行います。
3.求人情報の提供や紹介
就労移行支援事業所のネットワークを活用して、利用者の希望や適性に合わせた求人情報を提供します。
4.企業との面接のセッティング
企業との面接日程の調整や、面接に向けての準備などのサポートを行います。
5.アフターフォロー
利用者が実際に就職した後も、定期的にフォローアップを行い、職場適応のサポートやアドバイスを提供します。
就職活動支援により、就職の際に不便や不利益を感じないよう最大限サポートし、公平な就職活動、アピールポイントや適性を最大限に活かすことができるようになります。
就労定着支援
就労定着支援とは、利用者が企業などに就職した後も、その職場で継続して働くための支援を行うサービスで、主に以下の内容が行われます。
1.職場適応のサポート
新しい職場の環境や文化、仕事の内容に慣れるためのサポートを行います。具体的には、新しいタスクの取り組み方や、職場のルール・マナーに関する指導などが含まれます。
2.職場の人間関係のサポート
職場の同僚や上司との関係構築やコミュニケーションの方法に関するアドバイスやサポートを行います。これにより、ストレスの軽減や人間関係のトラブルの予防に繋がります。
3.職務内容の調整支援
特性や能力に応じて、職務の内容や環境の調整が必要な場合、事業所と雇用先との間で協議し、最適な職務内容や労働環境を整えるためのサポートを行います。
4.健康管理のサポート
健康の問題や、仕事の内容と健康のバランスを保つためのサポートやアドバイスを行います。
5.定期的なフォローアップ
職場での様子や適応状況を定期的に確認し、必要に応じてサポートを継続的に行います。これにより、早期に問題点を発見し、適切な対応をすることが可能となります。就労定着支援は、利用者が一般企業で安定した雇用を継続するための大切なステップです。
就労定着支援は、利用者が企業で安定した雇用を継続するための大切なステップです。利用者だけでなく、雇用企業にとっても有益なサポートとなるため、持続可能な雇用関係を築くことを目指します。
就労移行支援事業所を利用するメリット・デメリット
就労移行支援事業所は、企業での就職を目指す際の大きなサポートとなる施設です。多くの利点がある一方で、利用を考える際には、そのメリットとデメリットをしっかりと理解し、自身の状況やニーズに合わせて最適な選択をすることが重要です。
メリット
就労移行支援事業所を利用することで、働くスキルや習慣の獲得、自己管理能力の向上、コミュニケーション力の強化など、様々なメリットがあります。詳しくは以下で解説します。
働くためのスキルや労働習慣を身に着けることができる
就労移行支援事業所では、実務技能のトレーニングや職種に応じた知識の学びなど、具体的な職業能力を高めるプログラムが用意されています。これにより、利用者は自分の進みたい職種や業界に応じた必要なスキルを身につけることができます。
また、指定された仕事を計画的にこなす、休憩時間を守るなど、一般的な企業で求められる基本的な労働慣習を学べます。これらは、職場でスムーズに働くための基盤となります。
自己管理能力を高めることができる
就労移行支援事業所では、利用者が職場での就労を目指すためのサポートが行われます。その中で、自己管理能力の向上も大きなテーマとして取り組まれます。自己管理能力とは、時間管理やタスク管理といった仕事に直接影響する管理能力はもちろん、感情のコントロールや健康管理といった自分自身の内面の管理能力も含まれます。
また、支援や訓練を通じて自分の強みや弱み、興味や適性などを深く理解することができるため、就職活動時のアピールや、自分に必要な配慮を説明する力を身につけることもできます。自己管理能力を高めることで、自分自身の生活をより良くし、職場での適応能力も向上させることが期待できます。
コミュニケーションスキルをアップさせることができる
就労移行支援事業所では、利用者が職場でスムーズに働けるようコミュニケーションスキル向上のサポートを行っています。就労移行支援事業所は多様な背景を持つ利用者が集まる場所です。利用者同士、またはスタッフとの関係を通じて、信頼関係の築き方や、他者との適切な距離感、多様性を尊重する態度や異なる価値観を理解する力が養われます。
また、ロールプレイなどを通じて、基本的な会話の取り組み方や、聞き手としての態度、伝え手としてのクリアな表現方法などの技法を学ぶこともできます。コミュニケーションスキルは、職場だけでなく、日常生活の中でも極めて重要な能力となっています。
就労移行支援事業所での研修や実践を通じて、このスキルを向上させることは、利用者の職場での適応、そして生活の質を大きく向上させることに繋がります。
自分の長所・短所を知ることができる
就労移行支援事業所では、職場に適応し、自分の能力や特性を最大限に活かすために学んだり、スタッフや他の利用者からのフィードバックを得ることで自身のスキルや行動を振り返る機会が増えます。これにより、何が得意で、何が苦手かを具体的に理解することができます。
自分自身を深く知ることで、自分の適性やキャリアの方向性を見つけ出すことや、自分の長所をしっかりと認識することで、自信を持って就職活動や職場での業務に取り組むことができるようになります。
就職支援だけでなく職場定着のための支援が受けられる
就労移行支援事業所では、単に職に就くことだけでなく、その職場で長期的に働き続けることを目標としています。就職後も、利用者が職場での問題や不安に直面した際に、就労移行支援事業所のスタッフがフォローアップを行い、必要に応じてアドバイスやサポートを提供します。
また、企業や組織とも連携を取り、利用者の適応をサポートするための情報交換やアドバイスを行います。これにより、利用者が職場での問題や課題を早期に克服する手助けとなります。定着を支援することで、安定した生計を立てることができ、自身のキャリアを築く基盤となります。
デメリット
一方で、就労移行支援事業所を利用する際は、費用や就労条件など、留意すべき点もあります。
利用料が発生する場合がある
就労移行支援事業所を利用する際には、多くのメリットがありますが、利用料については利用者やその家族にとって考慮すべきこととなります。具体的には、利用料は通常1割負担とされており、その具体的な金額は前年の世帯収入状況に応じて負担上限月額が設定されています。
利用中は就労できない
就労移行支援事業所を利用する際の考慮すべき点として、利用中の就労制限が挙げられます。具体的には、利用中にアルバイトや短期雇用などの形で働くことが基本的には許可されていません。
短期間であってもアルバイトや一時的な雇用を経験すると、利用者が「雇用された」とみなされることが多く、その結果、就労移行支援のサービスを受けられなくなるリスクがあります。しかし、自治体や利用している就労移行支援事業所の判断によって、アルバイトが許可されるケースも存在します。
就労移行支援事業所の利用にかかる費用
就労移行支援事業所の利用料金は、利用者の経済状況に応じて変動します。一部の方々は完全に無料でサービスを受けられる一方、一定の収入を超える場合は自己負担が必要となることがあります。この仕組みにより、より多くの方が必要な支援を受けられるよう配慮されています。
前年度の世帯収入状況により計算される
就労移行支援事業所で提供されるサービスの利用にかかる費用は、前年度の世帯収入状況を基にして設定されています。具体的には、利用者の前年度の世帯収入によって、2つの主要な費用カテゴリーに分類されます。
1.無料での利用
前年度の世帯収入状況に応じて、一部の利用者は就労移行支援サービスを無料で利用することができます。この場合、利用者は費用を一切負担する必要がありません。
2.自己負担が発生する場合
前年度の世帯収入が一定額を超える利用者は、サービスの利用に際して自己負担が必要となる場合があります。この自己負担に関して、前年度の世帯収入状況に基づき、負担上限月額が月額0円、9,300円、37,200円の3区分が設定されています。
このような制度により、就労移行支援事業所は、利用者の経済状況を考慮しながら、必要な支援を提供しています。
詳しくは市区町村の障害福祉課へ
費用の詳細に関しては、市区町村の障害福祉課が詳しい情報を提供しています。具体的な自己負担額や無料利用の条件、さらには地域ごとのサポート内容や特例に関する情報など、利用を検討されている方や関心をお持ちの方は、ぜひ障害福祉課へ直接お問い合わせいただくことをおすすめいたします。
就労移行支援事業所を利用して活躍の場を広げよう
就労移行支援事業所は、職場にスムーズに適応し、その能力を最大限に活かすためのサポートを提供しています。本記事の解説の通り、就労移行支援事業所には就労スキルの向上をはじめ、自己の長所・短所の理解、さらには職場での定着をサポートするための多岐にわたるプログラムが実施されています。自分の未来を広げるための第一歩、それが就労移行支援事業所での取り組みです。
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